特定技能ビザの登録支援機関とは

特定技能ビザの登録支援機関とは

特定技能ビザを取得したばかりの外国人は、日本の法律や、税金のことはもちろん、日常生活においてもわからないことだらけです。

そのため、特定技能ビザでは、「特定技能1号」の外国人に対し、「受入れ機関」と「登録支援機関」が協力して日本での活動を安定的・円滑に行うことができるようにするための日常生活上、職業生活上または社会生活上の支援を行うとされています。

登録支援機関になるための基準

では、具体的に「受入れ機関」、「登録支援機関」とはどのような機関なのでしょうか?

詳細は平成30年の12月11日時点では不明ですが、おおむね以下のような基準が必要なようです。

1.「受入れ機関」の基準

①受け入れ機関が外国人と締結する契約は、報酬額が日本人と同等以上であることなどを確保するため、所要の基準に適合することが必要。

②適格性に関する基準

2-a 労働関係法令・社会保険関係の法令を遵守すること

2-b 欠格事由に該当しないこと

③支援体制に関する基準(※特定技能1号外国人材の場合限定)

→支援計画に基づき、適正な支援を行える能力・体制があること

2「登録支援機関」の基準(特定技能1号外国人材の場合に限る)

①適格性に関する基準

→欠格事由に該当しないこと等が必要です。

②支援体制に関する基準

→支援計画に基づき、適正な支援を行える能力・体制があること等が必要です。

「登録支援機関」は上記の基準を満たした上で、「出入国在留管理庁」長官の登録を受けて支援をしなければなりません。

具体的な登録支援機関は民間の会社、NPO法人、行政書士、社労士、弁護士等が想定されていますが、具体的な基準はまだ明確ではありません。

2019年2月10日現在追記

登録支援機関の要件が具体化されてきましたので、追記します。

1.支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること
2. 以下のいずれかに該当すること
・ 登録支援機関になろうとする個人又は団体が,2年以内に中長期在留者の受入れ実績があること
・ 登録支援機関になろうとする個人又は団体が,2年以内に報酬を得る目的で,業として,外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること
・ 選任された支援担当者が,過去5年間に2年以上中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有すること
・ 上記のほか,登録支援機関になろうとする個人又は団体が,これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認めら
れていること
3.1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと
4.支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと
5. 刑罰法令違反による罰則(5年以内に出入国又は労働に関する法令により罰せられたなど)を受けていないこと
6.5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し著しく不正又は不当な行為を行っていないこと
など

登録支援機関の外国人に対する支援の内容

特定技能1号の外国人材に関しては、日本での活動を安定的・円滑に行うことができるようにするための日常生活上、職業生活上または社会生活上の支援を行うことが必要とされています。

これは、特定技能1号の外国人材に関しては、日本に不慣れで、頼る人も少ないことから、人権侵害が起こりやすい環境にあるため、これを防止する必要があるからです。

そして、一般的には、受入れ機関または登録を受けた登録支援機関が、特定技能1号外国人に対する以下のような支援を行います。

(1)入国前の生活ガイダンスの提供

(2)外国人の住宅の確保

(3)在留中の生活オリエンテーションの実施

(4)生活のための日本語習得の支援

(5)外国人からの相談・苦情への対応

(6)各種行政手続きについての情報提供

(7)非自発的離職時の転職支援

(8)その他

特定技能の登録支援機関の主な必要書類

 

登録支援機関の登録申請時の主な提出書類一覧

主な提出書類

1 登録支援機関登録申請書 法定様式を公表予定
2 登記事項証明書(法人の場合) / 住民票の写し(個人事業主の場合)
3 定款又は寄付行為の写し(法人の場合)
4 役員の住民票の写し(法人の場合)
5 登録支援機関の概要書 参考様式を公表予定
6 登録に当たっての誓約書 参考様式を公表予定
7 支援責任者の履歴書,就任承諾書,支援業務に係る誓約書の写し 参考様式を公表予定
8 支援担当者の履歴書,就任承諾書,支援業務に係る誓約書の写し 参考様式を公表予定

※ 上記の書類のほか,申請内容に応じて書類の提出を求める場合があります。
※ 詳細は2019年3月中に法務省ホームページ(2019年4月以降は,新設する出入国在留管理庁ホームページ)に掲載予定です。

 

在留資格認定証明書交付申請時の必要書類

1 在留資格認定証明書交付申請書 / 在留資格変更許可申請書 法定様式を公表予定
2 特定技能所属機関の概要書  参考様式を公表予定
3 登記事項証明書(法人の場合) / 住民票の写し(個人事業主の場合)
4 役員の住民票の写し(法人の場合)
5 決算文書(損益計算書及び貸借対照表)の写し(直近2事業年度)
6 特定技能所属機関に係る労働保険に関する資料 労働保険手続に係る保管文書の写し等
7 特定技能所属機関に係る社会保険に関する資料 社会保険手続に係る保管文書の写し等
8 特定技能所属機関に係る納税に関する資料 法人税,住民税の納税証明書等
9 特定技能雇用契約書及び雇用条件書の写し 参考様式を公表予定
10 特定技能雇用契約に関する重要事項説明書 参考様式を公表予定
11 特定技能外国人の報酬額が日本人が従事する場合の報酬額と同等以上であることの説明書 参考様式を公表予定
12 入国前に仲介業者等に支払った費用等を明らかにする文書 参考様式を公表予定
13 技能試験に係る合格証明書 / 技能検定3級等の実技試験合格証明書等
14 日本語能力試験に係る合格証明書 / 技能検定3級等の実技試験合格証明書等
15 特定技能外国人の健康診断書 参考様式を公表予定
16 支援計画書 参考様式を公表予定
17 支援委託契約書(登録支援機関に委託する場合) 参考様式を公表予定
18 支援責任者の履歴書,就任承諾書,支援業務に係る誓約書の写し(支援を自ら行う場合) 参考様式を公表予定
19 支援担当者の履歴書,就任承諾書,支援業務に係る誓約書の写し(支援を自ら行う場合) 参考様式を公表予定
主な提出書類一覧(在留資格認定証明書交付申請時等)

※ 上記の書類のほか,申請内容に応じて書類の提出を求める場合があります。
※ 詳細は2019年3月中に法務省ホームページ(2019年4月以降は,新設する出入国在留管理庁ホームページ)に掲載予定のようです。

総括

特定技能ビザの登録支援機関については、まだ情報が完全とはいえず、具体的な制度はこれから、という状況です。

 ただ、外国人が、日本で働こうとはるばる日本にやってきても、職場や生活になじめなければ孤立してしまい、辛いことばかりになり、逃亡や犯罪につながることも考えられます。

 またしっかりとした支援が受けられないと、毎回作業に時間がかかる、業務上の重要な指示が通じない、危険な作業を間違った方法で行うなど、業務に大きな影響が出てくることが予想されます。

そのため、登録支援機関が機能するかどうかで特定技能ビザの成否が決まる、と言っても過言ではないと思います。

ですから、登録支援機関はよく勉強し、しっかりとしたサポートを行えるよう、準備していく必要があります。

当事務所も、制度上可能になれば、登録支援機関に登録予定ですので、新制度に疑問がございましたら、お気軽にご相談ください。