建設業で就労ビザ取得は可能か?

建設業で就労ビザ取得は原則として不可能

日本では、従来から原則として就労ビザはエンジニア、翻訳・通訳者、コック等の高度技術者にのみ認めてきました。

一方で、工場等のライン現場で働く単純労働者には就労ビザは許可されていませんでした。

したがって、建設現場で働くことを目的として就労ビザを取得することは基本的にはできません。

建設業で就労ビザ取得が例外的に可能な場合がある

建設業の現場作業は、原則的に単純労働に区分されます。

したがって、原則的に建設現場で働く単純労働者には就労ビザは許可されていません。

しかし、下記のビザを持っている方でしたら、建設業の現場で働くことができる可能性があります。

1.永住者

2.日本人の配偶者等

3.永住者の配偶者

4.定住者

5.アルバイトの場合(留学・家族滞在の場合で、原則として週28時間以内)

6.外国様式の建築・土木工事を行う場合(技能ビザ)

7.技能実習生の場合

8.特定技能ビザを持っている場合(2019年4月~)

「上記のビザを確認するには、どのようにしたらいいですか?」という質問もよく受けます。

これについては、「在留カード」を確認することが大切です。

在留カードを確認せず本人の言葉だけを信じて雇用しないよう、雇用する際には「在留カード」を必ず確認するようにして下さい。

 

身分に基づくビザを持っている場合

まず、永住ビザを持っている外国人は、就労に制限がないので建設現場で働くことができます。

また、上記のほか、永住ビザを持っている人の家族(永住者の配偶者等)や「定住者」というビザを持っている人は、就労に制限がないので建設現場で働くことができます。

また、日本人と結婚している外国人(結婚ビザ)も、問題なく建設現場で働くことができます。

ただ、このような身分系のビザを持っていてかつ建設現場で働きたいという人は需要に対して少ないところが悩ましいところです。

アルバイトの場合

「留学」のビザや「家族滞在」のビザを持っている人は、原則として就労はできません。

しかし、「留学」のビザや「家族滞在」のビザを持っている人は、あらかじめ入国管理局で 「資格外活動許可」を取得する事により、
原則として1週間28時間以内であれば就労する事ができます。

ただ、上記のとおり、1週間28時間以内という時間的制約があるので、フルタイム(週40時間等)での勤務はできません。

外国様式の建築・土木工事を行う場合

外国様式の建築・土木工事を行う現場であれば、「技能」という就労ビザを取得できる可能性があります。

技能ビザを取得するためには、その外国人が最低でも5年~10年の外国様式の建築・土木工事に関して、実務経験があることが必要です。

この外国様式の建築・土木工事とは、例えば以下のようなものです。

中国様式、韓国様式やゴシック、ロマネスク、バロック式、などの建築・土木に関する技能など、外国様式で、日本にはない建築・土木に関する技能のことを言います。

その他、枠組壁工法、輸入石材による直接貼り付け工法なども含まれます。

そして、枠組壁工法による輸入住宅の建設に従事するには、条件があります。

それが以下です。

1 外国人の受入目的が、単に建設作業に従事させるためというのではなく、日本人に対する指導及び技術移転が明確になっていること

2 住宅建設に必要な資材(ランバー)の主たる輸入相手国の国籍を有する者又は、当該国の永住資格を有するものであること

※輸入住宅の原産国:アメリカ、カナダ、オーストラリア、スウェーデン、フィンランド

3 受け入れ企業において輸入住宅の建設に係る具体的計画が明示されており、その計画の遂行に必要な滞在期間があらかじめ申告されていること

4 従事する分野としては、スーパーバイザー、フレーマー、ドライウォーラーフィニッシュ・カーベンダーのいずれかに属するものであって、日本人でも、作業が容易であるような工程に携わるものではないこと

ただ、建築様式は気候、風土、文化等と密接なかかわりを持ちます。したがって、日本ではやはり日本建築が中心となりますので、対象となる建築物が少ないという面は残ります。

技能実習生の場合

技能実習生は、日本から海外への技術移転を目的として、日本で最長3年間の期限付きで技術研修を受ける人たちです。

ただ、東京オリンピック・パラリンピックや東北の復興支援などの関係で人材不足を補う為に平成27年4月1日から平成33年3月31日までの時限的措置として、即戦力となる外国人建設就労者の受入を行うことになりました。

これにより、現在最長で3年しか日本に滞在できなかった外国人技能実習生が、最長で6年間(連続して滞在できるのは5年まで)滞在できるようになります。

特定技能ビザの場合

特定技能ビザの場合、特定技能1号で3年+2号で3年で合計6年の就労が可能になります。

詳細は当サイトで解説していますので、ご確認ください。

ハローワークへの届出

外国人を雇用した場合や、外国人が離職した際には、氏名・在留資格・在留期間等をハローワークに届出る必要がありますので、忘れないよう手続きをお願いいたします。

 

まとめ

従来は建設業での就労ビザの取得は難しかったのですが、日本の人材不足が深刻化していることから、建設業でも外国人雇用の機会は広がってきています。

建設業者様で外国人雇用をお考えの方は、「うちの会社では無理」と安易に決めつけず、どうぞお気軽にご相談ください。